1981年にTES制度が発足してから、現在までに8,000名を超えるTES有資格者が活躍しています。
TES資格者の業種・職種の分類は次のとおりです。
TES資格者は、上記のようにファッション業界の主要企業、繊維検査団体、経済産業省の関係機関・国民生活センター・消費者センター・都府県の工業技術センターなど行政機関、洗剤・洗濯機などの家電メーカー、大学など教育機関にも普及しています。
繊維の専門知識や周辺の幅広い知識を身につけるために、営業中心にTES取得に取り組み、営業職全員のTES取得を目指す素材メーカーも出てまいりました。TESの資格制度が素材メーカーの繊維事業を支える「人作り」に大いに役立つからです。新人社員にTES受験を奨励する企業も増えてきました。
得意先のアパレル主要企業にはTESが配置されていることから、染色・整理業界の企業では、TESを取得して対等の立場で得意先との品質問題の解決先を探り商談を円滑に進めるため、TES取得の必要性が高まっています。
また、「TES会」を通じて得られる情報を新しい加工方法や技術の開発などに役立てることができます。
TESの活躍が特に期待されているアパレル業界は、TESの受験者・取得者ともに一番多く、受験が多い職種は、商品企画、営業、品質管理、生産管理です。
受験者の職種が、品質管理のほか、生産技術・生産管理、営業、MD、デザイナー等に広がりを見せています。
消費者の品質要求やサステナビリティへの関心が高まっているなか、今後、TESに対するアパレル業界の関心はさらに高まっていくでしょう。
百貨店、量販店、専門店などの繊維・衣料品部門の関係者の多くがTESを取得し、衣料品の品質管理、販売員への教育・指導、顧客対応などの業務で活躍しています。販売現場では、素材の特性、色落ちなどのトラブル、家庭洗濯やクリーニング、保管方法、表示の見方など、顧客からの様々な質問が増えています。TESは、これらの質問に適切に回答することで顧客の信頼を得ています。
「商」の機能を果たす商社においても、海外生産が増えてきた関係で、生産に係わる知識が必要になってきました。これがTES受験の動機となっています。
カーテン、カーペットなどのインテリアファブリック、布団、シーツなどの寝装・寝具もまた繊維業界の一翼を担っています。消費者が心地よく暮らせるための製品づくり、品質保証のためTESを取得する企業が増えています。
インターネットやカタログなどを見て購入を決める通販では、消費者が商品の実物を見て・触って確認することができないので、提供する情報や商品の品質には細心の注意を払う必要があります。そのため、マーケティング部門や品質保証部門においては「品質」の位置付けが高く、主にMD、品質保証、企画、営業の部門でTESが活躍しています。
自社内に品質管理部門をもつアパレルは大手の一部に限られ、多くは検査団体に検査を委託しています。検査団体は、いねば「アパレル業界の品質管理部門」の役割を果たしています。上層部、中堅、新人に至るまで、検査機関の多くの人がTESを取得しています。
衣料品は着用や使用を経てクリ一二ングの段階で消費性能上の問題が表面化します。そのため、クリーニング業界のTESは、苦情の解決や未然防止策を講じる必要から、TES会をはじめとする繊維業界や流通・小売業界とのネットワークを活用しています。
消費生活センターの相談窓口では、クリーニングトラブルや衣料品の品質・性能に関する苦情が寄せられることから専門知識を生かして対応しています。相談窓口以外に商品テスト、消費者啓発・教育などでも活躍しています。
ファッション性や機能性を高めるために不可欠な裏地やボタン、ファスナー、リボンなどの副資材、織ネームや品質表示やブランドネームなどのラベルメーカーにも多数のTESが活躍しています。